第13章 ボサボサ頭の救世主
その瞬間、八左ヱ門は自分の手を握りめているゆうきの片手を取ったかと思うと、ガバッとゆうきを身体ごと引き寄せ抱きしめた。
「た、竹谷君!?/// 痛いよ…//」
竹「馬鹿だなぁ!ゆうきちゃんは本当に馬鹿野郎だ。そんなことしたら、伊作先輩も雷蔵も兵助も勘右衛門も…俺だって傷つくよ?俺達はどう思われたって大丈夫だから。」
だからそんなこと言うな、少し身体を離すと八左ヱ門はゆうきの視線を捉えてそう伝えた。
八左ヱ門の気迫に押されて、ゆうきはコクンと頷くしかなかった。
竹「よし、じゃあ乗って!」
さっと八左ヱ門は再びゆうきに背中を向けてかがんだ。
「で、でも…」
竹「っていうか医務室の場所分かるの?」
「う…方向音痴だけどなんとなくは覚えてるもん…」
竹「俺が背負って行った方が絶対早いから。さっさとしないとお姫様抱っこするぞ。」
「そ、それは勘弁!」
(10個下の子からしたらおばさんなのに、お姫様抱っことかきつすぎる…)
ゆうきは渋々本日2度目となる八左ヱ門の背中に身を預けた。
「ゆうきちゃんを助けたことで俺が何か言われるのが嫌っていうなら、俺の背中に顔伏せといたらいいよ。誰かわかんないだろ?よし、行くぞ!」
足に響かないよう静かに走り出す八左ヱ門を、ゆうきはすごく男らしいと思った。
「竹谷君、ありがとう…。」
竹「んー、八左ヱ門でいいぜ。」
「!!…ふふふ、ありがとう八君。君はいい男になるよ(笑)」
竹「なんだそれ(笑)っていうか『はちくん』っていいな。」
「はっちゃんって呼んでる人は結構いるみたいだからさ、八君って呼んでみた。誰とも被らないでしょ?」
八左ヱ門は照れくさそうに笑った。ゆうきだけが呼んでくれる呼び名ができたことが、なぜだか分からないが嬉しく思った。