第13章 ボサボサ頭の救世主
竹「ところでさ、さっきは一瞬だったし穴を登るのに集中してて気づかなかったけど…」
「なぁに?」
竹「ゆうきちゃんって胸小さいのな!」
「なっ!!///」
ゆうきは勢いよく八左ヱ門の背中から仰け反った。
「馬鹿馬鹿馬鹿!もうおろして!」
竹「小さいのが悪いなんて言ってないじゃん。俺、手に収まるサイズの方が好きだぜ!」
「そういう問題じゃない!」
自分を背負っているハ左ヱ門には見えていないだろうが、ゆうきはプイッと顔を背けた。
竹「怒るなって〜。ゆうきちゃん、胸小さい割りに太ももはぷよぷよなんだな!」
「酷い!//もう八君嫌い!おろして!自分で歩く!」
竹「ちょ、暴れんなって!俺はプニプニの女の子好きだぜ〜」
「前言撤回!全然いい男にならない!」
竹「え〜(笑)ほら、顔伏せとかないと(笑)」
「…。」
ゆうきは悔しそうにポスッと再び八左ヱ門の背中に顔を埋めた。
「もう…!でも八君のおかげで元気が出たよ(笑)…ありがとう。」
竹「お礼は何回も聞いたからいいって。もうそろそろ医務室着くよ。」
「…ねぇ、八君は私のこと信用してくれてる…?」
ゆうきは不安そうに小さな声で尋ねた。
竹「…当たり前だろ!今更何言ってんだ。」
そう言って八左ヱ門は笑った。
「そっか…!よかったぁ。」
ゆうきも小さく笑う。
竹(本当はまだ分からない…でも俺が信用してるって思わせないといけない…)
最初ゆうきの前から走り去ったように見せかけたのも、足を痛めているのを察したからではなく、何か怪しい動きをするのではないかと観察するためであった。八左ヱ門は罪悪感からチクチクと胸が痛むのを感じた。
竹(四年や三郎、先輩方のように突き放すやり方でも構わない。でも信用してると思わせて警戒心が緩んだところで動き出す可能性もある。そこを捕らえるのは俺達の役目だ…。しかし、我ながらゆうきちゃんをからかったり、名前で呼ばせる必要とかないはずなのになぁ。)
それにまだ半信半疑なんて伝えたらこの人はきっと傷つく。公私混同してるなぁ…そんなことを思いながら、八左ヱ門は医務室の扉を開けた。