第13章 ボサボサ頭の救世主
「さて私も…うっ…」
ゆうきは痛む足を庇うように歩き始めた。一歩、一歩…歩みは遅い。
「イタッ…はぁ…。」
ゆうきがため息をついた時、
竹「そんなことだと思った。」
「え、竹谷君!どうして?行ったんじゃ…」
竹「様子が変だったから行ったように見せかけたの!」
「す、すごいねぇ、忍者って…」
予想外の反応に八左ヱ門はプッと吹き出した。
竹「足挫いたんだろ。医務室まで連れてくから伊作先輩に見てもらおう。」
「で、でも…竹谷君急いでたのに…」
八左ヱ門はゆうきの頭に手を置き、頭巾ごと乱暴に撫でる。
竹「俺のことは気にしなくてよかったのに。ゆうきちゃん馬鹿だなぁ。足痛いなら痛いって言ってよ。…もっと頼ってくれていいんだよ?」
「…違うの!!そんなんじゃないの!」
ゆうきは八左ヱ門の手を頭から退かして、握りしめた。
「そうじゃないんだよ…。さっき滝夜叉丸君に言われちゃったの。四年生は皆私のこと嫌いなんだって。滝夜叉丸君も綾部君も私が穴から出られない演技してるって助けてくれなかった。伊作君や、雷蔵君、竹谷君もすごく良くしてくれるけど…、きっと四年生だけじゃなくてほとんどの忍たまが私のこと好きじゃないと思うの。」
八左ヱ門は涙目で訴えるゆうきの次の言葉をじっと待つ。
「それは仕方ないと思ってる!だから私を嫌いな人が悪いとは全く思ってないよ。…でも…、私と一緒にいるときっと竹谷君達まで良く思われない…。だから…、だから私は…」
竹「俺達と距離とるの?誰も頼らず1人で頑張ろうとしてる?」
八左ヱ門は、怒気を含んだ面持ちでゆうきを真っ直ぐに見据えた。
「!!!…う、うん。だってこんな私に親切にしてくれる人達に迷惑かけれないよ。」
そう言うと、八左ヱ門の表情はいっそう険しくなりゆうきは少し怯んでしまう。