第21章 女の嫉妬
長「…留三郎、遅かったな。」
食「な、何があったか分からんが、お前達なんだそれは。」
七「いやー!なぜかあの人が男湯にいたもんで!」
明るく笑い飛ばす小平太に、留三郎は冷静に突っ込む。
食「女の裸見ただけでおっ勃ててるわけじゃないだろ。絶対何かしたな!」
潮「………。」
七「なんかゆうきちゃん見てたら、どんどん虐めたくなってしまってな!」
食(それは分からんでもない。)と、自身がしたことを思い出す留三郎。
潮「小平太、お前どさくさに紛れて、いつの間にか「ちゃん呼び」してるな。」
七「細かいことは気にするな!まぁでも文次郎と長次がいてくれてよかった!私1人だったら何してたか分からんからな!」
食(暴君怖え…)
潮(あれで!?あれで抑えてたのか?)
長(モソ…)
六年生4人は並んで身体を洗い出す。
七「そういえば、留三郎も一緒に鍛錬してたのに何で遅かったんだ?」
食「ああ、食堂に茶をもらいに行ったんだが、ぺちゃくちゃお喋りしてる後輩くノたま達を見かけてな。ゆうきさんに何か仕掛けてやったようなことを、自慢げに話していたから問いただしていたんだ。何でも男湯と女湯の暖簾を入れ替えたとか何とか。それを説教してたら遅くなった。最後は泣かれたから許してやったけど。」
ゴチン!!と留三郎は長次から拳骨を喰らった。
食「いてー!!長次、なにしやがる!!」
潮「お前がもっと早く来てそれを俺達に教えれば、こんなことにはなってねえだろうが!!」
七「そして最後は後輩に女の涙使われて…、それ絶対演技だぞ。」
食「な、うるさーい!!お前らがしたことなんか俺が知るか!!伊作と仙蔵にもチクるからな!!伊作は絶対怒るぞ!!」
バシャーンと桶のお湯を被って、留三郎が声を荒げた。
潮「せ、仙蔵には言うな…」
ただでさえ、この間のことで弱みを握られている文次郎は顔を青ざめる。
七「まぁ、私は楽しかったからどうでもいいけど!今夜は眠れそうにないなぁ!」
その言動に、こいつは…と全員が小平太に呆れるのであった。