第13章 ボサボサ頭の救世主
「え?」
竹「乗って。ほら早く。」
有無を言わせない物言いに、ゆうきはおずおずと手を伸ばし八左ヱ門におぶさった。
竹「しっかりつかまってろよ!」
そう言うやいなや、八左ヱ門は懐から1本の苦無を取り出し、大きくジャンプすると土壁に苦無を突き立てた。そして即座に反対の手で穴の淵を掴むと腕力だけで登りきった。
八左ヱ門はゆっくりゆうきをおろすと、ゆうきの頭にぽんっと手を置いた。
竹「ほい!脱出成功!」
な、簡単だったろ?そう言って八左ヱ門はニカッと笑った。
ポロ…
「あ…」
竹「ちょ…!?泣いてんの!?え、なんで…」
「ご、ごめんね!1人で穴の中にいたから不安だったのかも…。大人なのにおかしいね(笑)竹谷君、本当にありがとう!」
必死に涙を拭うゆうきを、八左ヱ門はそっと抱きしめた。
「え…!?竹谷君…?////」
竹「…! あ、ごめん、ゆうきちゃんが子どもみたいでつい。」
「誰が子どもよ!もう泣いてないから!」
そっか、そっかと八左ヱ門はゆうきの頭をポンポン叩いた。また子ども扱いしてー!とゆうきは怒っていたが。
竹(あぶねー、泣いてるこの人が可愛くて思わず抱きしめてしまった…)