第13章 ボサボサ頭の救世主
日が暮れてきた。穴の中はすでに薄暗い。
このまま穴の中で夜を迎えるのだろうか。
「寒いよ…痛いよ…。」
委員会手伝えなかったなぁ、ごめんね伊作君。とぼんやり考えながらゆうきは膝を抱えてうずくまる。
その時だった。タッタッタ…と走る音が聞こえてきた。
「!!! 助けて…助けてください!!穴の中です!!穴の中にいるので助けてください!!!!」
ゆうきは声が枯れるくらい思いっきり叫んだ。叫び終わって耳をすますと足音は聞こえなくなっていた。ゆうきががっくりとうな垂れた時、頭上から声が降ってきた。
?「…誰かいるのか??」
ひょっこり顔を出した人物にゆうきは目を輝かせる。
「た…竹谷君!!」
竹「ゆうきちゃん!綾部の穴に落ちたのか?」
「う、うん。落ちて穴から出られなくて多分もう2時間くらい経つの…」
竹「分かった、ちょっと待ってろよ!」
ゆうきが返事をする前に八左ヱ門は穴の中に降り立った。
「君も普通に穴に入ってくるんだ…(綾部君といい竹谷君といい…。)」
竹「ん?何か言った?」
「ううん!それよりどうやってここから出るの?」
竹「なーに、簡単だよ」
ほら。そう言って八左ヱ門はゆうきに背中を向けて屈んだ。