第9章 初めての朝
ゆうきは部屋に戻ると慣れない手つきで、教職員と同じ黒の忍び装束に袖を通した。
「よし、着れた!…あれ?なんか余ってる?
ん?袴の腰の三角のところから肌丸見え…。」
これは誰かに頼るしかないと、ゆうきは上から寝巻きの浴衣を羽織ると、そろそろと廊下に出る。
「兵助く〜ん…。あれ、誰もいない…」
隣の五年い組側の部屋を覗くが留守のようだった。
(昨日から頼りっぱなしで申し訳ないけど、やっぱり伊作君に聞くか…)
「伊作く〜ん…」
六年は組側の戸も開けるが、こちらも誰もいなかった。諦めて戸を閉めようとした時、背後から急に声をかけられた。
?「何か用か?」
驚いてバッと振り向くと、そこには見覚えのある人物が立っていた。
「えっと…確か…食満君でしたっけ…?」
食「ああ、食満留三郎だ。伊作なら医務室だと思うが、伊作に用か?」
「いえ…その…」
留三郎は、言いにくそうに口籠るゆうきを見やると、忍び装束の上からなぜか寝巻きを羽織っており、手には何やら黒い布を持っている。