第9章 初めての朝
「おはよう!早いね〜」
聞き覚えのある声にゆうきは笑顔で振り向く。
「おはよう、雷蔵君!」
「ねぇ、何してるの??」
(……あれ?)
笑顔で話しかけてくる雷蔵だが、ゆうきはほんの少し怖いと思ってしまった。
「鉢屋…三郎君……。」
三郎を認識した瞬間冷や汗が出る。
鉢「あれ?もうバレた?さすがくノ一の端くれだな。」
「違いますって!昨日貴方も学園長先生のところにいたんですよね…。それならもう私が忍者じゃないって分かったはずです。」
鉢「そんなの誰も信じてないぞ」
ニヤッと三郎が意地悪く笑った。
「………。」
三郎は黙り込むゆうきとの距離を詰める。
「…こ、来ないで…!」
ゆうきの身体は凍りついたようにその場から動けず、三郎から目を離すこともできなかった。かすかに震える手をもう片方の手で握りしめる。