第9章 初めての朝
チュンチュン…
昨夜は早めに就寝したせいか、大分早く目が覚めたようだ。春の朝はまだ少し冷える。
ゆうきは寝ている間に着崩れした浴衣を整えると、外に出た。
「う〜〜ん、気持ちいい朝…!」
大きく伸びをして、昨日見かけた井戸に向かう。
「顔を洗おうと思ったけど…、どうやって使うんだろう…」
知識として井戸を知ってはいたが、実物を見るのが初めてのゆうきはもちろん使用したことなどなかった。
「えっと、蓋は開けるよね。よいしょっと!それで、桶みたいなのがついてて、滑車がついてて…」
今ではなかなか見かけない代物に、また歴史好きの血が騒いでしまったゆうきがぶつぶつ呟きながら井戸の構造を調べていると、急に後ろから話しかけられた。