第6章 学園長室
周囲にいた者達も、近くに寄って覗き込んでくる。
山田「私が1番怪しいと思ったのは、この袋の中にある液体や軟膏のようなものだ。これはなにかな?」
伝蔵が指差したのは1つのポーチだった。
「あ、…これは化粧水と言って…こうやって顔につけます。これも、これも。私の時代の女性には、顔を洗った後の肌のケアは欠かせません。あ、こっちはハンドクリーム。こうやって手に塗るとカサカサしません。これはオイル。全身に塗ります。この中身は全てケア用品です。」
山「毒ではないようだな。こっちの袋は?」
「これは化粧道具が入っています。例えば…」
カチャカチャとゆうきが化粧ポーチから、1つの筒状のものを取り出し、蓋を外した。ニョキッと出てきた桃色の物体にどよめきが起こる。
「これは口紅です。こうやって唇に塗ります。」
山「ほぉ…紅は小皿から指でとって唇にひくもの。全然違うな。」
土井「私はこれが何か知りたい。一体なんなんだ、これは。」
半助が手提げ鞄から出したのは、スマホと充電器であった。
「これは…私の時代には携帯電話というものがありました。どんなに離れている人とでも、これを使って会話ができるのです。」
ゆうきがスマートフォンを操作すると、その場にいる全員がシンとなってその得体の知れないものを眺めた。
「今…圏外になっていますね。ここではこの機械は使えないようです……。これは充電しないと動かなくなって、何もできなくなります。こっちはその充電するためのもの。ここではこれも使えません…電気がありませんから。私の時代では、電気というエネルギーが生活のために必要不可欠でした。」
土井「うーん、よく分からないが、これは確かにこちらにはない技術でできている。」
その後もゆうきは、一つ一つ丁寧に説明していった。自分の下着までまじまじと見られた時は、顔から火が出そうであったが。