第5章 異世界トリップ
潮「おい。前だけ見て歩け。」
先程までの緊張はどこへやら、時代劇のセットのような建物に気を引かれ、あちこち見渡しながら歩いていたゆうきは、文次郎に注意されビクッと肩を震わせた。
「あ、すみません…珍しくてつい…。」
しかし実はゆうきは歴史好きで、大学の時も専攻しているほどだった。由緒のありそうな建造物を観察できるチャンスにゆうきの心は踊った。
こんな素敵な建物なら忍者がいてもおかしくないかもしれない(笑)
すっかり探究心に火がついたゆうきは、少しだけなら話を聞いてもいいかな?と口を開いた。
「ここ学校なんですよね?すごく広いみたいですけど…。どれくらい広いんですか?」
善「う〜ん、忍術学園の敷地はかなり広いですからね〜。塀の周りを一周しようとしたら何十分もかかります。」
「え!そんなに?!…あ、ここは何ですか?」
どうやらこの学校は多くの建物の集合のようだ。
恐怖よりも好奇心の方が勝ったゆうきは、また違う造りの部屋に興味を持った。
善「ここは私達上級生の長屋ですよ。長屋を抜けると学園長の庵です。」
食「伊作!!」
善「あ、ごめん…」