第21章 女の嫉妬
「ま、間違っちゃったの…!すぐ出て行くから!みんな後ろを向いておいて!」
七「後ろを向けるわけないだろう。貴女が私達に斬りかかるとも限らない。」
「じゃ、じゃあ、みんながお風呂から上がるまでじっとしてるから…」
長「そんなこと許すわけないだろう。敵か味方か分からない怪しいやつがいては、おちおち身体も洗ってられない…。」
「じゃあどうしたら…」
困り果てたゆうきと、小平太の目が合った。
七「まずは立て!!」
とびきりの笑顔で言う小平太にゆうきは驚く。
「え、なんで!?」
七「武器を持ってないか確認する。」
「そ、そんなぁ…文次くん!!」
文次郎に助けを求めたゆうきであったが、文次郎は静かに首を横に振る。
潮「……怪しい行動をしたアンタが悪い…。」
諦めてくれと、再びため息をつかれてゆうきは泣きそうになる。
七「文次郎、あだ名呼びなんて、この人と随分仲良くなったんだなぁ!」
潮「…あぁ、先日委員会で世話になった。」
長(何かあったな…)
小平太は気づいていなかったが、長次は文次郎が少し動揺したのを見逃さなかった。
長「モソモソ…(面白そうだから、後で仙蔵あたりに聞いてみるか)」
潮「長次、なんて言ったか分からんがやめてくれ」
七「??」
「あの…武器も持ってないし、立ちたいんだけど…、さすがに恥ずかしいから、手拭い取ってくれない??お風呂のへりに置いてて…」
ゆうきは腕で自身の胸を隠したまま、離れたところに掛かっている手拭いを指差した。
七「ダメだ。私たちの一瞬の隙を突いて攻撃されるかもしれないだろう?」
「そ、そんなことしないよ!!」
七「信用できない。」
ゆうきは涙目で文次郎を見つめる。
文次郎はまた深いため息をつきながら、自分の目の前にかかっていた手拭いを取った。
七「文次郎!!」
潮「…わかってるよ。」
長「手拭いだって武器になる。石を包んで振り回したり、水を含ませるだけでも、かなり重くなる。」
潮「…あぁ。わかってる。だが…。」
煮え切らない文次郎から小平太が手拭いを奪い取った。
潮「あ、おい!!」