第21章 女の嫉妬
七「よーし、私が一番乗りだ!!」
潮「あ、馬鹿タレ!ちゃんと身体洗えよ!!」
長「…小平太はいつも烏の行水だからな。」
勢いよく浴室の戸が開き、鍛錬を終えたのであろう、六年生の忍たま3人が入って来た。
七「じゃあ、文次郎洗いっこでもするか!」
潮「誰がするか!気色悪い!!」
長「……モソ」
長次が2人に静かにするよう呼びかける。
しん…
静まり返った風呂場の奥から、明らかな気配がするのを3人は感じていた。
小平太は臆することなく、気配がする方に歩みを進める。
潮(おい、気をつけろよ…)
七「誰だ?そこにいるのは?」
急に近くでした声に、ゆうきはびくっとしてしまう。
七「そこにいるのは分かっているぞ。隠れなきゃいけないということは、忍たまじゃないだろう。そこで何をしている。」
小平太とはまだほとんど関わったことがなかったが、いつもの明るい様子とは違う気迫にゆうきは固まってしまった。
長次と文次郎も侵入者を逃すまいと、小平太の近くで構えを取る。
潮「三つ数える間に、出てこい。さもなければこちらから行くぞ。」
長「3対1だ、諦めろ…」
七「さーん…、にー…、いーち…」
ゆうきは震える身体を押さえながら、月の光が照らす方へ移動した。
七「…ゆうきさん。」
「あの、ごめんなさい…」
潮「はぁ…お前ここで何をしているんだ。」
まだ臨戦態勢を解かない3人にゆうきは答える。
「何って…お風呂…。今日は男湯と女湯の入れ替えの日だって…。」
長「そんなものはない。」
長次の小さな呟きに、ゆうきは目を見開いた。
「え、でも!」
七「演技はいい。ゆうきさん、本当の理由はなんだ?」
ニカッと笑う小平太だが、目の奥は笑っていない。ゆうきはお湯の中にいるのに、冷や汗をかくのを感じた。