第20章 会計委員会
ゆうきは立ち上がると、文机の向かいに座っていた文次郎の左隣に行き、膝立ちで文次郎を見下ろした。そして、左手で文机をバンッと軽く叩く。
「そう思うなら早く寝なさい!私は潮江君が寝るまで寝れないの!」
潮「なぜそこまで俺が寝ることに拘る。」
「…三木ヱ門君と約束したんだもん。任せろって言っちゃったんだもん。」
ゆうきは子供のように口を尖らせた。
潮「田村を手懐けて、あわよくば他の四年にも取り入ろうって魂胆か。」
「…なっ!そういうことじゃなくて!ただ単に、嫌われてると思ってた三木ヱ門君に頼られて嬉しかったのよ…。」
潮「ふうん。そんなに言うなら寝てやってもいいぞ。」
「本当!?」
潮「あぁ、ただしお前が一緒に寝るならな。」
文次郎の言葉にゆうきは一瞬で顔を赤く染めた。
「ちょっ…///そんなことできるわけないじゃない。冗談言ってないでほら寝よう?」
ゆうきが立ちあがろうと文机についた手を、文次郎はパッと掴んでゆうきを押し倒した。
「きゃっ!」
潮「冗談?お前こそ、こんな格好で男と二人きりになってどういうつもりだ?」
「こ、こんな格好って別に普通…。」
ゆうきは肘をついて距離を取ろうとするが、文次郎がすぐにその距離を縮める。
潮「あぁ、そうだ。普通の浴衣で、普通の寝巻きだ。簡単に男に抱かれる格好だ。」
「な、何言ってんの!?///」
文次郎はゆうきの肩まである髪に手を伸ばし、そっとゆうきの左耳にかけた。そしてそのまま指を滑らせ、首筋を触る。
「っっふ」
ゆうきが小さく声を上げたのを、文次郎は見逃さなかった。
潮「お前は忍者の三禁を心得ているか?」
「なに、それ?」
潮「それ即ち、酒・欲・色だ。俺はこれを守っている。」
「…?」
潮「つまり、酒と欲はもちろんのこと、女にもうつつは抜かさんということだ。」
「じゃあ、一緒に寝るなんて三禁に反するじゃない。」
潮「…そうだな。だが生憎、五徹目でな。4日以上寝てない男のところに、そんな格好でやって来て、安易に2人きりになったお前が悪い。」
そう言うと、文次郎はゆうきの肩に左腕を回し、身体を無理矢理起こさせた。そして、浴衣の襟元に右手を差し込んだ。
「ちょ、し、潮江君!」