第19章 図書委員会
下級生達が出ていき、図書室には長次と雷蔵だけが残っていた。
長「雷蔵、よかったのか…?」
モソッと長次が口を開く。
雷「何のことですか?」
長「信頼しているフリをしていたのだろう?彼女にとってお前は数少ない気の置けない存在だ。しかし先程のことで、実は自分は雷蔵に信用されていないんだと彼女も気づいたであろう。」
長次の言葉に雷蔵は少し考えて答えた。
雷「そうですね…確かに僕の作戦はもう見抜かれたかもしれません。でもそれよりあの場で一番守らねばならなかったのは、書庫の重要書類と…何より後輩達ですから。」
長「ふ…。そうだな。しかし、女の涙で動揺するとはまだまだだな雷蔵…。」
雷「……精進します。」
きっと他の女の涙ならああはならない。自分がゆうきを泣かしたという事実に焦ってしまったのだ。雷蔵は深い溜息をついた。
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その日の夜、ゆうきは早めに入浴を済ませて考え事をしていた。思い出すのは半助の言葉…。
土「上手くいかなかったら、またおいで。」
あーと唸りながら、ゆうきは文机に顔を伏せた。
「土井せんせ〜…、今日は上手くいかなかった…になるのでしょうか〜…。先生にまた話聞いてもらおうかなぁ…。いや、最終的には上手くいった…のかな?でも何かモヤモヤするなぁ…。」
ゆうきは顔を上げて、パンッと両手で自分の顔を叩いた。
「やっぱりその日のモヤモヤは、その日のうちにだ!」
ゆうきは、よし!と立ち上がり、自室を後にした。