第19章 図書委員会
「………へ。」
雷「…なんでここにいたの?」
(え…ここって図書室?だって今日は手伝いに…どういうこと?)
「ごめん、意味がわからな…「書庫を開けて何しようとしてたのかって聞いてるんだよ!!!」」
声を荒げた雷蔵に、ゆうきはびくっと驚いた。普段は優しい先輩の変わり様に、後輩達も息を呑んだ。
「あ、あの…ごめなさっ、掃除の道具奥にあるって聞いたから……ここかなって…」
どんどん尻すぼみになっていくゆうきの声を聞き、雷蔵は深いため息をついた。
雷「ここは書庫だよ…掃除用具入れは反対側。」
「…ごめんなさい…知らなくて…相当大切なものが入ってるんだよね…軽率でした…。」
雷「何が入ってるかは貴女には関係ない。」
ゆうきはズキっと胸が痛むのを感じた。その瞬間、我慢していた涙がぽろっとこぼれる。
あんなにお世話になっている雷蔵を怒らせてしまった、いつもゆうきちゃんと呼んでくれる雷蔵に〝貴女″には関係ないと言われてしまった…色んな感情が押し寄せてくるが、これ以上迷惑をかけてはいけないと、ゆうきは唇を噛んで泣くのを我慢した。
しかし、動揺したのはゆうきだけではなかった。
雷蔵もゆうきの涙を見て焦りを覚え、黙って腕を下ろした。
2人のやりとりを見て、長次が声をかける。
長「…雷蔵、そこまでで大丈夫だ。その人を連れて来い。」
長次はそう言うと、普段図書当番が座る席の方へと戻る。同様に一年生と二年生も続いた。
雷蔵はゆうきをゆっくりと立ち上がらせ、机の方まで一緒に歩みを進めた。
長「…今日はもう帰れ。」
長次がゆうきを見て、モソっと呟く。
「え…?」
長「そんな状態じゃ、掃除なんてできないだろう。今日はもういい。」
「…大丈夫、やります。」
ゆうきはゆっくり首を振った。
長「…私たちがお前を信用できないのだ。」
ギロリと長次に睨まれゆうきは一瞬怯む。
きり・怪・能「……。」
不穏な空気に、一、二年生達も心配そうに事の顛末を見守った。