第19章 図書委員会
ヒュンッ
「え??」
どこからともなく飛んできた縄のようなものが、戸に手を掛けたゆうきの右腕に巻きついた。その先っぽに鋭利なものが付いており、驚いたゆうきは尻餅を着いてしまった。
「きゃっ!」
我に返って、目で縄を辿っていくと…。本棚の端の方に般若にも似た笑みを浮かべた長次が立っていた。
「…中在家君?」
長次の後ろに他の忍たま達も駆けつけ、不安そうに覗いていた。
長「…そこで何をしている。」
「え、あの…ちょ、痛い!痛い!」
長次は縄鏢を自分の方に引き寄せた。ゆうきの右手はグイッと引き上げられるように引っ張られ、体勢も右に崩れる。
雷「中在家先輩、ここは僕が…。」
雷蔵の申し出に、長次は黙って頷いた。
雷蔵はゆうきの方に歩み寄り、ゆうきの身体をそっと起こし、右手に巻きついた縄鏢を優しく外した。縄鏢はヒュンッと持ち主の手に戻っていった。
「雷蔵君…、ありがとう。」
雷蔵は座ったままのゆうきを反転させ、先ほどゆうきが開けようとしていた戸にもたれるように座らせた。
ゆうきは長次の行動の意味が理解できていなかったが、雷蔵を見て安堵していた。
「…雷蔵君?」
少し微笑んで雷蔵の顔を覗き込む。
ドンッッッッ!!!
ゆうきの顔の両側には雷蔵の両手。正面には怖い顔をした雷蔵がいた。