第18章 作法委員会
仙「すまない、遅くなった。所用の後、穴掘り小僧を見つけてな。」
そう言って、作法部屋の戸を開けたのは、委員長の立花仙蔵であった。
「立花君、こんにちは。今日はよろしくお願いします。」
仙「…ふむ。うまく一年生を手懐けたものだな。」
仙蔵はゆうきに膝枕をされて、気持ちよさそうに寝息を立てている兵太夫と伝七に目をやった。
「あ、そういうわけじゃ…。ごめんなさい、すぐ起こすね。」
ゆうきが二人の一年生を起こそうとした時、仙蔵の後ろからもう一人の人物が顔を覗かせた。
綾「おやまぁ、ゆうきさん。」
「!…あ、あや、べ君…」
ゆうきは作法委員会に喜八郎がいることをすっかり忘れていた。3日前のことが頭をよぎる。食堂でも気まずさで、ゆうきは喜八郎の顔を見れずにいたのだ。
綾「先日はどうも~」
喜八郎の言葉にゆうきの頬は一瞬でカッと染まる。
その反応に仙蔵はピクリと眉を動かし、いぶかしげに二人を見た。
仙「何だ、喜八郎。この人と関りがあったのか?」
綾「えぇ、この間落とし穴の中で…「わ!私が!綾部君の落とし穴に落ちちゃったんです!」」
綾部の発言を遮るようにゆうきが声を張った。
綾「そう、それに気づいた僕が…「あぁ!ほら!あの時足を痛めちゃって!!もう普通に歩けるけど!まだちょっと痛みがあってね!毎晩お風呂上りに医務室通いでね!まいっちゃうよ~!でも、伊作君の薬すごい効くのよね!!」」
またも綾部の話を遮ったゆうきは自分でも驚くほどよく喋っていた。いや~あっはは~と笑って誤魔化すが、藤内は目をパチクリさせ、仙蔵は眉間に皺を寄せている。
仙蔵は、つまらなそうにしている喜八郎に視線をやり、ため息をついた。
仙「はぁ…お前は何だか煮え切らない様子だな。」
綾「だから、落とし穴の中で悪戯されちゃって〜」
「!!!!?」
仙・藤「はぁ〜〜〜〜〜!?」