第17章 生物委員会
毒蛇と言われドキッとしたが、ゆうきはその場から動けずにいた。
竹「ゆうきちゃん、1歩ずつ後ろに下がるんだ。孫兵、突っ立ってないでお前も!」
孫「…はい。」
孫兵が返事した時、ゆうきは「大丈夫。」と一言発して、後退するのではなく、あろうことか前へと歩みを進めた。
「「「ゆうきちゃん(さん)!???」」
八左ヱ門と一年生全員が驚いて声を張る。
孫兵も目を丸くしてゆうきの行動を見つめた。
ゆうきはジュンコと目線を合わせるように屈み、声をかける。
「あなたがジュンコちゃん?私はゆうきって言うの。よろしくね。」
ゆうきが人差し指で優しくジュンコの頭を撫でると、ジュンコは嬉しそうにシュロロロロと音を鳴らした。
そして、そのままゆっくり胴体を伸ばし、孫兵の首からゆうきの方へと移ってきた。
夢・虎・上・初「「ゆうきさん凄い!!」」
竹「驚いたな!ゆうきちゃん、虫獣遁の心得でもあるのか?」
「ちゅう…?なぁに、それ。」
竹「あぁ、分からないならいいんだ。」
一年生が未だにゆうきに賛辞を贈る中、ジュンコの主人である孫兵がぽつりと呟いた。
孫「ジュンコが女の人に懐くなんて初めてです。いつもは僕の懐から出てこないか、威嚇するだけなのに。」
「ええ、そうなの!?人懐っこい子なのかと思ってた。」
孫「基本的にはそうなんですけど…ジュンコは人の気持ちに凄く敏感で、僕に好意を持って近づいて来る女の人は追い払ってくれるし、敵にはまず懐きません。ゆうきさん、あなたはきっといい人なんでしょうね。」
そう言って孫兵は初めてゆうきに笑顔を見せた。
美少年に微笑まれて、ちょっぴりドギマギしてしまったゆうきの顔をジュンコの尻尾がはたく。
「あいた!」
そんな様子を皆が笑った。