第17章 生物委員会
ジュンコはゆうきの頬に優しく頭を擦ると、自分の主人の方に首を伸ばして戻って行った。
「あのね、全然私はいい人じゃないよ、いつも自分のことばっかりだし…。でも悪いことはしてない!これだけは皆に分かっていて欲しい…。」
夢「もちろん!ゆうきさんは悪い人じゃないです。」
虎「一年は組は誰よりも早く分かってましたよ!」
初「あー、虎若ずるいなぁ。僕達もゆうきさんのこと信じてますよ。ね、一平?」
上「うん、なんたってジュンコのお墨付きだしね!」
そう言って笑う一年生に対し、ゆうきは涙目で笑顔を見せた。
「みんな、ありがとう…!」
夢「あれ?孫兵先輩何で顔赤いんですか?」
三治郎の率直な疑問に孫兵は慌てる。
孫「え、か、顔!?赤いか?風邪ひいたのかもなぁ!」
普段女性に興味がないくせに、ゆうきの笑顔に顔を赤く染め慌てふためく主人に、ジュンコは呆れてため息のような音を鳴らした。
「まぁ、大変!!熱はない?!」
そんなことは露知らず、ゆうきは孫兵にずいっと近づく。
孫「うわぁ、大丈夫!平気ですから!」
一年生達は何がなんだか理解していなかったが、クールな先輩のいつもと違う様子に笑いをこぼす。
それが恥ずかしくて孫兵はまた一段と顔を赤くする。
「ほらやっぱり熱があるんじゃない!?」
孫「ち、違います!!僕は元気ですから!」
「ならいいけど…無理しないようにね!」
やっと離れてくれたゆうきに安堵しながら、孫兵は小さく返事をした。
竹「よーし、それじゃあそろそろ委員会活動を始めるぞ!今日は飼育小屋の掃除と、竹で虫籠編みを行う!」
「「「はーい!!!」」」
委員長代理の号令で今日の生物委員会の活動が始まった。
竹(ゆうきちゃん、着実に味方を増やしていってる…。これは彼女の努力の賜物なんだろうけど、ちょっと危険だな。とりあえず、あのジュンコを一発で懐かせたこと…悪く言えば懐柔し、三年の孫兵まで信じさせたこと…皆に報告しなきゃな。)
生物委員会の活動は夕暮れまで続いた。