第1章 【さとし】の日常。
雅「オーナーから智さんの事は、聞いております」
「え、潤さん…僕の事なんて話していいの?」
相葉さんから知らされた、潤さんの
新事実に戸惑いながら、本人を仰ぎ見る。
当の本人は、何のことかとおどけて見せ
僕の腰に手を回すと、今日の事情を説明し始めた。
…この人、掴みどころがないっていうか
ちょっとイマイチよく分からないんだよなあ。
セックス自体は、とっても気持ちが良いんだけど。
潤「智、今日相手をしてもらう秘書の相葉はね、少し疲れているんだ。彼女も居ないらしいし…だから俺の愛してやまない智を紹介したんだよ」
「潤さんは、いつから仲介業者になったんですか」
潤「智も良く言うようになったな」
「色々経験させてもらいましたから…ね?」
なんて僕が意味深に囁いてみせると、
潤さんは厚い唇の端をニヤリと持ち上げ
僕の頬を軽く撫でた。
そして、気を取り直すように相葉さんに
向き直って、僕を相葉さんへ近付けるように
ぐっと背中を押された。
潤「余計な話は置いておこう、取り敢えず…相葉を智のその身体で癒してあげてくれ。 気に入れば相葉も店の常連になってくれるだろうしね」
潤さんがそう言いながら、相葉さんの方へ
視線を向け、その言葉に相葉さんが
軽く頷いて僕を見据えた。
僕はその瞳に、好青年の匂いと
その奥に潜む大人の情欲が垣間見えて
お尻の後孔を、きゅっと締める。
雅「今夜は、お手並み拝見といきましょう…?」
「そう、ですね…お互いに」
僕と相葉さんが、お互いの瞳の奥に
隠された欲の探り合いを始めた時。
潤「それじゃあ、俺は失礼するよ。素敵な夜を…」
そう言って潤さんが部屋を出て行かれた。
それを見計らったように、相葉さんが
僕の腰へ腕を回し、僕を引き寄せた。
これから僕の仕事がまた、始まる…。