第2章 【かずなり】の日常。
智さんが、困ったように考え始めて
俺たちの間に流れる長い沈黙。
俺は、次に智さんが言葉を発する
それまでの間に俺も智さんを
下から上まで見つめた。
…ただならぬ色気。
事後の気だるさ。
それなのに、どこか無邪気な少年心を覗かせる。
そんな智さんだから、指名客が
どんどん増えるんだろうか。
なんてぼうっと考え込んでいたら
智さんが、閃いたように顔を綻ばせて
自身のポケットから何かを取り出した。
智「ちょっと趣向を変えて、玩具使ってみたりとかは?」
「お、もちゃ…?」
趣向を変えるどころか、普通に
在り来りな方法だと意外に思ってしまった。
でも、何かの手掛かりになるのなら
そう思って、差し出された手に
自分の手を伸ばした。
その玩具を手に取って、
手元で弄ってみた。
智「それ、エネマグラっていうの」
「それくらい知ってる…」
智「結構ハマると気持ちいいんだよ、中に入れたまんま歩いてると新しい所にクるんだ」
「新しい所…?」
智「そう、未開発部分…それが開いたら、雰囲気とか変わるかもよ?」
その言葉を最後に、智さんは
次の指名客の元へと行ってしまった。
雰囲気変わる、のかよ。
なんかからかわれてる気がしてきた。
けど、智さんがあんな事を言ったあと
だから、好奇心には勝てなくて。
幸いにも、この後予定が入ってなかった俺は、家に帰って、さっそくその玩具を使うことにした。