• テキストサイズ

売春夫【気象系BL】

第2章 【かずなり】の日常。




指示された通りに、タクシーを走らせ
夜の高層ビル街を走り去る。

自分の街でも、職場でもこんな
上品な輝きを放つ所はない。

同じ国の中にいて
同じ空の下にいるはずなのに。

自分が迷い込んでいるこの街が
異世界のようで、とても怖くなった。

タクシーがホテルのロータリーで止まる。

ロータリーなんてあるホテルを使うのが
自分に似合わなさ過ぎて、笑えてしまう。

足を着けて、ホテルのロビーに向かった。

ロビーの中も、煌びやかなのに
どこか落ち着いていて。
いかにも、お金持ちが来るような所。


「相手は金持ちか…」


金持ちっていうのは、何を考えてるか
よく分からない節がある。

俺は直接知らないけど、以前
同じ店で働いていた人が
妙な金持ちに気に入られて、
遊びに遊ばれた挙句、殺されたって
そんな物騒な話を聞いた事がある。

それが同じ店の人間だったんだから
より一層恐怖心は増す。

俺は、らしくもなくビクビクしながら
客の泊まっている部屋のベルを
そっと、そっと鳴らした。

少し時間を置いたあと、鍵の開く音と
扉が開かれて。


『君がデリへルの…?』

「あ、はい。カズっていいます…」


身体を硬直させながら、そう挨拶して。
目線だけを客の方へと向ける。

そこに立っているのは、高級なスーツを
しっかりと着こなした紳士らしき人で。

身体中から、金持ちオーラを漂わせていた。


『そう、カズくんね…取り敢えず、入るといい』

「あ、お邪魔します…」


客に招かれるまま、俺は部屋へと
足を踏み入れた。





/ 27ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp