第2章 【かずなり】の日常。
俺の所属する店の系列店でもある
このホテルは、とにかく派手だ。
至る所にピンクが散らばってるし。
どうせ、俺らの店で独占するのに…。
こんなにピンクにして何が良いのか
全く分からないが、オーナーの趣味
らしいから、文句は言えない。
ま、それにももう慣れてしまったけど。
俺は、今日指名を入れてくれた客と
いつも使う部屋の扉をノックした。
そうすると、無言で鍵が開く音がして。
俺は、それに促されるようにして
扉を自分で開けて中に入る。
「ご利用頂きましてありがとーございまーす。出張ホスト、ストームのカズでーす」
いつもの営業スマイルで
決められたセリフを言うと、
ベッドに座っていた客が、
俺の腕を激しめに引いた。
「…っ、安藤さん? 今日は黙ったまんまっすね」
俺のお得意様の安藤さん。
少し変わったプレイが好きな方。
部屋に入ってきてから、一言も
話さないこの人に少し恐怖を
感じてはいるけども。
これもプレイの一部だと思えば、
そんな恐怖心なんて直ぐに消え去る。
「今日はどんなプレイします…?オススメは…」
『いい、そんなオプションは。今日は、ただ大きく喘いでくれればいい』
「…っす、分かりましたよ」
俺が服を脱ぎだせば、安藤さんも
服を脱ぎ出す。
お互いに全裸になって、少し硬い
ベッドの上に倒れ込んで。
安藤さんは、俺の首筋にキスを
送り始めた。
この人、絶対口には触れないんだよな。
そう考えながら、俺は安藤さんの
首に腕を回した。