第20章 救われた心・・・。
日番谷:寝ちまいやがったか
溜め息を吐いて、俺は寝顔を見詰めていた。蒼は足元で大人しく眠っていた。こんなにも寝顔は可愛いのに、何かを遠ざけていた。
日番谷:なぁ、何で一歩身を引いてるんだ。
その寝顔は泣いていた。起きるなよ。そう感じながら俺は、顔を近づけた。その泣き顔を隠したくて・・・。
澪:茶番劇してるのは誰よ
暗い部屋。辺りに何もない空間で私は暗闇に身を潜めている人物に叫んだ。理由は分かってる。彼女は壊したいのだ、何もかもを・・・。
澪:立華!!いるのは分かってるのだから、出て来なさい
暗闇に身を潜めている人物は、笑い転げる。何もかもを楽しむように、現状を見定めて澪に現れる。
立華:可笑しくて何が悪い。私をこうしたのが誰か知ってるくせに、壊したくて壊したくて仕方ないのに
漆黒の長髪、漆黒の瞳の少女は刀を向けるように澪に立ちはだかる。まるで遊戯を見ているかの如く戯れる。
立華:私をこうした死神が嫌い。大好きだったあの人を壊した死神が嫌い。死神を殺したくて仕方ない。それの何処が可笑しい。
響き渡る笑い声が空間にこだまするだけ、澪は舌打ちしながら立華を睨みつけた。
澪:憎悪の塊!貴女の友がそれを望んだと!!
その先の言葉は首先に向けられた刀により遮られた。立華は笑うように語り掛ける。
立華:あら、茶番は貴女達じゃない。真実を知れば貴女は私だわ!!貴女の心はもう満ちている。昔の私だ!!
その言葉に澪は沈黙し、立華を見つめ続ける。立華は舌打ちをしながら語り掛ける。
立華:私達の心も魂もあの方の物・・・。だって、誰も好きになる事が咎なら、何故縛られる。全てを壊した死神が憎い。貴女達もそうなる。
立華はつまらないというように、澪を睨みつけ含み笑う。澪は舌打ちをした。
澪:ならない!!私は・・・。
澪の胸元に触れ鼓動を確かめるように立華は含み笑う。不快感に抱かれながら・・・。
立華:だって、貴女はもう好いてるじゃない
踊り狂うように立華は笑い続ける。
怒り狂った狂乱の始まりとさえ思える高笑いだった。