第20章 救われた心・・・。
澪:出任せなら貴女を切る
その言葉に立華は笑いを止め、澪を見つめた。
そして立華は刀を澪に向けると語り掛ける。
立華:.だから、壊してあげる。心を壊して崩壊してほしいから
立華がその場を去ると、私の意識は現実に引き戻された。
瞳を開けば近くに日番谷隊長の顔があった。瞳を大きく見開き、正直驚いていた。
日番谷:泣き止んだみたいだな
その言葉に、私は自分の瞼に手を触れる。自然に泣いていたのに気づいてはいなかった。映画館内は照明が消され、映像が映し出されていたが、その光景に私は見えていない。見えているのは、目の前の日番谷隊長の顔だけ・・・。
日番谷:どうした?
翡翠の瞳を見ていられなくて、私は目線を紛らした。「壊してあげる」その言葉が頭から離れなくて、日番谷隊長を見ていられなかった。急に日番谷隊長に手を引かれ、私は真っ暗闇の映画館を離れた。
日番谷:前だけをみろよ、そうすりゃ、悩んでいたことも忘れる。
その翡翠の瞳が優し気に笑っていた。私は、ただ救われていたのかも知れない。日番谷隊長は少しだけ照れたように目線を外し、歩き始めた。
蒼:主、少しは気持ち落ち着いた?
その声に私は瞳を大きくし、背後を振り向いた。いつの間に此処まで育まれていたのか気付いてなかった。
澪:蒼、貴方言葉を・・・。
随分と前から話せるようになっていはいたらしい。今まで気付かないほどに、今に慣れ過ぎていたのかも知れない。
蒼:ねぇ、主、少しは昔に戻っても良いんじゃない?誰かの気持ちに答えるのもありだよ
その言葉に、私はただ日番谷隊長を見詰めた。
誰かの気持ちに応えるのは酷く簡単で、だけど自分には酷くつらかった。「考えさせて」それだけ呟くと、私は沈黙し、日番谷隊長の後に続いた。
蒼は、溜め息を吐いて、私の肩に飛び乗り、眠りについた。
蒼の答えや気持ちが、今の私には酷く難しい事だった。
不意に日番谷隊長から差し出された手に私はただ、手を添えるしか今は導き出せなかった。心は何かを求めて彷徨っていた。