第21章 狂い咲き華
藍染:迂闊だったよ、こうも簡単に君が動くとはね
身体のいうことを聞いてくれなくて、私はただ藍染を睨みつけていた。事をせいてしまったのかも知れない。
藍染:っふ、本当に君は僕を退屈させてはくれないね。
脇腹に刺さった刀を抜かれた激痛と、自分の中の衝動に私はただ苦笑するしかなかった。この衝動は今も覚えてる。
だけど、私を抱きかかえるようにその場から逃してくれたのは・・・。朦朧とする意識を私は手放した。
そうこうなってしまったのは・・・。
戻ってきた私に、翔は溜め息を吐き笑ってくれた。そんな私の様子を日番谷隊長は複雑な気持ちで見つめていたのを知るよしもなかった。
乱菊:隊長、どうしたんですか、ひょっとして
俺の表情を見た松本は、何かを勘付いたのか溜め息を吐き、俺に抱き付いて来た。
乱菊:隊長、自分の気持ちに気付いちゃったみたいですね。
小声で俺の耳元で話す松本に、深く溜め息を吐いたのだった。
ただ、視線だけは澪から離れることはなかった。現世で何を調べていたのか知らないが、明らかに澪は泣いていた。泣き止ませたくて、必死になっていた俺がいた。
日番谷:松本、いい加減離れろ
俺が睨みをきかせれば、松本は苦笑しながら俺から離れたのだった。俺はいまだに澪から目を離せないでいた。また無茶をしそうで、俺から離れないように縛りたくて仕方ない衝動だった。
日番谷:松本、今日部屋貸してくれ、かわりに俺の部屋使え
そう告げ俺はその場を離れたのだった。
松本は少しいぶかしげな顔をしながら、腕を組み溜め息を吐いて見詰めていた。
乱菊:隊長のあんな姿初めてだわ、んにしても
私は視線を日番谷隊長に見詰めていた。そんな様子を松本さんが見ていたのには気付かないでいた。松本さんが、深い溜め息を吐いたのは言うまでもない。
乱菊:隊長、このままだといつか・・・。
何かを察するように松本さんの髪を、風が靡いたのだった。
それは近い未来知る事になるとは知るよしもない。