第20章 救われた心・・・。
乱菊:隊長!!!!お願いだから早く帰って来てぇ〜
いきなり伝令神機がなったと思ったら、泣き叫ぶ松本の声と、背後で「電話してる余裕あるなら、襲うぞ!」と発言してる翔の声に俺はかなり驚いた。
俺の伝令神機に耳を傾けている澪は、「あちゃー」と呟いている。
乱菊:隊長、翔怖いです。
その泣き叫ぶ声に、俺は伝令神機を耳元から離したのだった。そして澪を見詰めると、澪は首を左右に振ったのだった。
澪:諦めた方が良いよ。翔、スイッチ入ってるから戻っても意味ない。
その言葉に俺は溜め息を吐いて、伝令神機で「松本・・・諦めろ、すまん」と告げ、伝令神機を切った。
その後何回か伝令神機がなって受けたが、その度に松本が叫んでるのに溜め息が出たのだった。
「いやだ。面白い、いずれ壊して・・あ、げ、る。」
最近音沙汰だった。あの声が不意に耳をかすめた。日番谷隊長は今だに伝令神機でやり取りしており、私の様子には気付いてなかった。私は不意に歯軋りした。黙れ、もう何度もそいつに願った。だけど、そいつは楽しむばかり、そんな様子に私は悔しさで一杯だった。
日番谷:ったく、松本のやろう・・・どうした?
伝令神機を切り、小言漏らしていたが澪の表情が、暗くなっていたのに気付き、覗き込んだ。
澪は、そんな俺に「何でもない」と目線をズラして告げる。俺は首を傾げたが、澪の様子が気になり、近くの映画館に入ったのだ。
日番谷:落ちつくまで此処で休もう。
映画館の座席に座るなり、澪は自分を抱きしめるように両手を抱えたのだった。
日番谷:・・・離したくないならいいぜ。側にいてやる。
隣に座ると俺は溜め息を吐いていた。澪は、片手で俺の服を掴んでいる。様子を見れば小動物。まるで、誰かに怯えているような感覚であった。
日番谷:時々感じるが、ほんとどうしたんだよ。
首を左右に振ると「何でもない」と呟く、私の様子に日番谷隊長は溜め息を深く吐いていた。そして、肩を抱き寄せるようにして、そっぽ向いた。
日番谷:寝ちまえよ。そしたら、考えてたことも忘れちまうよ
その言葉に、私は何故か泣きたいような甘えたいような気分で瞳を閉じた。