第18章 答のありか・・・。
翔:・・・貴方は会ってるんですよ澪に・・・たった一度。
そうたった一度だけ澪は日番谷隊長にあっている。それも貴族たちの眼を盗んで、琉魂街に出掛けるほどに・・・。
「また会えないかな・・・翡翠の瞳の子」
翔が思い出してるのは見つけた時の言葉。その頃はまだ護廷十三隊に所属していなかったのも事実。あの頃の澪は、基本的に外出禁止だった。その理由を知ったのは翔が零番隊に入ってからである。
翔:あの頃の澪を、自由にしたのは貴方だというのに・・・。
その言葉に俺はただ沈黙した。会っていた記憶など、俺自身が思い出せないでいる。その理由も全く分からないのだ。
翔:・・・・どうやら、そういうことか。澪も思い出せないらしいのは・・・。
翔は壁に背中を預け、腕を組んで日番谷隊長を見つめた。そして、自分だけが覚えている記憶に苦笑するしかなかった。
翔:忘れて下さい。どうやら遙の仕業のようだ。
日番谷隊長の眼を見て、翔は「現世行っても構いませんが、零の行動を妨害しないで下さいね」と告げて去っていった。
日番谷:・・・・分からないことだらけだ
俺は髪を掻きむしって舌打ちした。翔は、知っていても語りたくはないらしい。現世っか・・・正直、俺は澪が単独をしている理由が気になって仕方がなかった。零番隊には副隊長はまだ不在。そして、各隊士達も正式に零に戻っておらず、各隊にいる。
日番谷:十番隊所属、枢木翔、それとも・・・。
翔の去っていった方向を見つめ、俺は溜め息を吐いたのである。ただ一つだけ感じていることがあるとすれば、澪がいないだけの衝動。無償に、心配で仕方がないという気持ちだった。
澪:・・・・冬・・・獅郎?あ、あれ・・・何で
誰かに呼ばれて、呼ばれた気がして、気付いたら日番谷隊長の名前を苗字ではなく、名前で呼んでいた。気がついたら泣いていた。ポタポタとその瞳から雫か零れていた。
澪:・・・・・・どうして、どうして止まらないの
自分を抱きしめるようにその場でしゃがんで涙した。向かう場所は、浦原喜助から聞いていた。だけど、何かを思い出したように糸が切れて、頭の中で何かが思い出していた。
澪:・・・私・・・私は・・・。