第2章 散りゆく華の名は
俺と 澪は従者と姫の間の関係だった。
身寄りのない俺を、城主が拾い家族同然で育ててくれたのは感謝している。
だけど、心でいつしか離れるようにしていた。
物心ついた時、俺は、従者という立場を理解していた。だから・・・。
日番谷:まだ起きてらしたのですか姫
羽織をその人物に被せると、その人物は俺を儚げに見て、顔を伏せた。それから、暗い顔をして
澪:ねぇ、もう前みたいに呼んでくれないの?
その言葉に俺は踏みつぶされそうになっていた。
前みたいに呼びたいと・・・だけど、少しだけわだかまりがあって、そんな表情をされたらどうすることも出来なかった。
日番谷:ったく、二人だけの時だけだぞ? 澪
その言葉に 澪は「うん」と答えて、咳き込んだ。
俺が澪の背中をさすると、あいつは苦しそうな表情をした。
着物の袖には血がにじみ出ていた。
澪はまた・・・・・・吐血した。日が経つにつれその回数は増えてきて、澪が起き上がる回数も減ってきていた。
城主はあまり、 澪に近寄らなくなった。他の従者達もこの部屋には一切あまり近寄らなくなった。
従者の中で、俺の着物もそれなりに高貴なのは城主の子供として育てられていたからだ。
だから他の従者に比べるとかなりの待遇うだった。
ある時俺は城主に言われた。
「 澪が好きなら、くれてやる」と・・・。
その言葉に俺はただ驚愕した。自分の娘を城主は見限ったのだと理解しからだ。
それからだった。澪の環境があまりに前と変わったのは・・・。
その理由もすぐに理解をした。
城主の姫が結核を患った・・・。
従者達が皆知りだしたことだった。
日番谷:・・・俺は・・・。
それから俺はなるべく澪の傍にいた。
体調が良いときは、内緒で馬を用意し、外に連れ出したこともある。
どんなに死期が近くても、なるべく傍にいてやろうと・・・。
もう後がない・・・城主は自分の娘を捨てたのだと理解したら