第16章 欠けていたピース
澪:平子真子?
物陰に隠れるようにして、私と翔は話をしていた。翔は「あぁ」と頷き私を見つめる。
翔:その資料通りなら生きている。間違いなくな、そして志波家の奴もおそらくな
書類を見つめ、頬を書く。書類の通りならば現世にいる可能性が高いのだ。それは確実に十分に・・・。
翔:零番隊の悲劇の前に起きたその事例、どうする?
澪は手で顔を隠し、舌打ちをした。「その情報が本当なら確かめる理由が出来た」と呟く。
澪:平子真子に会う前に、どうやら裏原喜助に会う理由がありそうね。
腕を組んで澪は溜息を吐いた。誰かが近づいて来るのに気付いて、翔と私は沈黙した。
乱菊:あんた達こんな所で何やってるの?
日番谷隊長と松本乱菊が此方に気付いて近づいてくる。あれから、零番隊が復帰され澪が隊長であることが護廷十三隊内では周知されるようになった。
翔:何もしてないですよ
翔は笑い松本や俺を見詰めた。澪は、書類を懐にしまうと、俺の側まで来た。零番隊は、元々隊舎がないのか澪はかなりフラフラしている。現状殆ど十番隊にいるのも真実なのである。
日番谷:これ五番隊に届けてくれるか?
澪は顔を引きつる。五番隊に行くのだけは避けたいのが本音なのだが、頼まれたのなら仕方ない。
澪:分かりました。
溜め息を吐き、私は五番隊舎に向かうのだった。翔は小声で「挑発に乗るなよ」と呟いた。五番隊舎に書類を渡しに入室すれば、藍染隊長が涼やかな顔で笑っている。
藍染:十番隊の書類を届けてくれたのか、すまない
書類を渡し去ろうとしたが、藍染に腕を掴まれる。私は、瞳を大きくし、藍染を見つめた。
藍染:随分と面白い事をしてくれたね。
その言葉に、私は睨みつける。藍染は、そんな私を嘲笑った。まるで、計画の状況の妨げにはなっていないというように・・・。
藍染:君の気持ちが素直に此方に向く事を願うよ
藍染は腕を離し、書類作業を再開するのであった。五番隊の隊士達は、皆が藍染を慕っている。そんな中に私は不要だ。人睨みし、その場を去った。