第3章 咲き誇る華
澪の表情が変わった。
まるで、相愛するように俺を見つめていた。
その表情は、今にも泣きそうな顔をしていたのは言うまでもなかった。少しだけ胸が痛んだ。
澪:すみません。日番谷隊長、貴方の前では本気出さないといけないみたいです。
私は一歩後退り、顔を伏せた。
使うなと警告されていたけれど、事が事なだけに確かめなければならなかった。
澪:見つけなきゃ、・・・出会わなければ良かった。
泣いた。俺の前で、戦いの最中澪は泣いた。
その顔に俺は一瞬目を奪われた。
澪:・・・卍解、紅蓮鳳凰凛。
灼熱が、澪を包んだと思った時、目の前にみた光景は・・・。
俺の氷輪丸の卍解姿と然程、いや全く同じ形状だった。
日番谷:卍解だと・・・
生徒が使えるのはかなり珍しい。
それを踏まえ、この霊圧、隊長クラス並の実力だった。
俺以外にこの場にいた隊長達も、その光景に驚いていた。
澪:ごめんなさい。だけど、これしかないの
俺に攻め入るように入った一撃は、紛れもなく本気だった。
実力を確かめるつもりの模擬戦で、まさか卍解を解放されるとはこの場にいる誰が想像出来ただろうか。
途中からか、此処に居なかった隊長達も騒ぎを聞きつけやって来ていた。
澪:日番谷隊長、貴方の卍解見せて下さい。
俺は驚いた。学生の存在で、隊長クラスの俺に卍解を解放しろと澪は告げた。その瞳は、何処か悲しげで、目が離せなかった。
実践経験のない生徒に隊長が、卍解を見せるなど持っての他だった。
澪:お願い、私に貴方の氷輪丸の力みせて
まただ、こいつ確実に俺の斬魄刀を知っている。
あったことすらないのに、その情報を何処で・・・。
日番谷:・・・っち
炎が一斉に俺に襲いかかる。
俺は後方に下がり、真剣に睨んだ。
どうする。隊長クラスの俺が使う訳にはいかない。
だが・・・。
氷輪丸:使わずに我が対の答えに主人はどう応える。
その唐突な言葉に俺は、氷輪丸を見つめた。
今なんて、対とは一体。
迷ってなどいられない。俺は舌打ちした。
日番谷:卍解、大紅蓮氷輪丸
やっぱりそうだった。
形状が近いのもそうだった。だけど、何より理解したのは
卍解による互いの共鳴。結局、その呪いからは逃れられない。