第2章 作戦会議
「お金もないし、この世界のこと何も知らないでしょう?幸いこの家は部屋も多いし、今暮らしてるのは私とトランクスだけ。息子と二人も悪くないけど、やっぱり少し寂しいのよねー。申し訳ないなんて思わないで、あなたがいれば私達も賑やかになって喜ぶ、と思って、ね?」
確かにお金もないし、この世界について何も知らない。
本当にこの人たちはどこまでも優しい…また嬉し涙に瞳を潤しながらも
「家事でもなんでもします!必要ならお金も稼ぎます。いつ元の世界に戻れるか分からないですが、それまでよろしくお願いします…!」
と精一杯の笑顔で答えた。
「よし!決まりね!部屋は…トランクスの隣でいいわよね?」
ちらっと悪戯な笑みでトランクスに目をやる。
トランクスはその笑顔の意味を知っていた。悪戯好きな母のことだ、どうせ女の子とまともに接することが出来ない自分をからかっているのだろう。
トランクスはそんな母に呆れ、はあ、とため息をついてから答えた。
「構いませんよ。」
ドキリ。はそんなトランクスのため息を聞き逃さなかった。先程まで笑顔で自己紹介を交わしていたが、やはり赤の他人の自分がずっと隣の部屋に居るというのは嫌なのだろう。
そんなトランクスの行動が心に傷をつけた。
実際そんな事はないのだが…なんせまだお互いをよく知らないためは良からぬ方へ考えてしまっていた。
「早速だけどちゃんはお風呂へ入ってきなさい。昨日はそのまま寝ちゃったでしょ?着替えは私の服で我慢してちょうだいね。」
そういえばそうだった。急にお風呂に入ってないことが恥ずかしくなり、顔を赤らめて臭くなかったかと不安に思った。
「トランクス、案内してあげて。」
「えっ、オレがですか?」
トランクスはまさか男の自分がお風呂まで案内するとは思っていなかったらしく驚いた。
「私はまだやることがあるのよ。よろしくね。」
オホホホと高笑いをしながらブルマはその場を去った。
全くあの人は。
はあ、とトランクスはまたため息をついた。
はまた不安になる。そんなに自分と二人きりになるのが嫌なのかな…そんな杞憂を抱えながらトランクスの凛々しい横顔を見つめた。
そんなの不安にトランクスは気づくはずもなく
「では、案内します。」
との方を向いた。