第14章 異世界生活七ヶ月目
そんな素振り、全く見せなかったじゃないか。
驚きと好きと言われたことで胸がドキドキする。
(返事、しなくちゃだよなあ…)
シドの告白は嬉しいけど断るしかない。そう考えるとシドの笑顔が頭を過ぎる。
(シド悲しむかな。悲しむよなあ…)
思い悩む。その日のボランティアはそんなことを考えているうちに終わった。
――。
「さん、お疲れ様です。帰りましょうか。」
「あ…トランクスさん。お疲れ様です、帰りましょう!」
いつもの道をゆっくりと歩く二人。
「はあ…」
「さん、大丈夫ですか?先程からため息ばかりついてますが…」
「えっ!?私そんなにため息ついてましたか?」
「はい。割と。」
「す、すみません…失礼でしたね。」
はまた無意識に一つため息をつくと、トランクスの方をまっすぐ見る。
「トランクスさん、実は私、シドに…その…こ、告白されたんです」
『告白』の部分だけ恥ずかしさで声が小さくなる。しかしトランクスは聞き逃さなかった。
「え?シドに?」
ドキリと胸が嫌なときめき方をする。
「はい…」
トランクスは頭が真っ白になった。
シドがさんのことを好き…?そんな話聞いたことがない。それにシドにそんな気持ちがあるなんて今まで気づかなかった。
先を越されてしまった―。
さんの方を見ると心做しか頬が赤く見える。
(さんはなんて答えたんだ。なんで赤くなるんだ。もしかして両想いだったのか…?)
「さんはその、なんて答えたんですか…?」
「まだ返事はしてないです…」
まだ、とはなんなのだろう。迷っているのか?好きなのか?
嫌だ、そんなの。
「それでその…どんな風に」
断ろうか分からなくて迷ってるんです、その言葉を言い終える前にトランクスがの言葉を遮る。
「オレじゃだめですか?」
じっとを見つめるトランクス。
「…え?」
「さんのことが好きなんです。」
その瞳は真剣そのものだった。
「うそ…」
「本当です。出会った時からずっと。」
「…っ!」