第14章 異世界生活七ヶ月目
嬉しい。嬉しいよ、でも…
私はこの世界の人じゃないから…一緒にいることは出来ないから。
「あ…えっと、じょ、冗談ですよね?や、やだなあ、こんな時にそんな冗談言わないでくださいよ!」
本当は今すぐにでも頷いてトランクスさんに抱きつきたい。自分の気持ちとは正反対の言葉を口から紡ぐたび、涙が出そうになる。
「オレは冗談のつもりはありません。本気で、好きなんです。出会った時からずっと…さんのことが好きなんです。」
トランクスの目は少し熱を帯び、思わず目を背けてしまう。
「だって、私この世界の人じゃないんですよ。いつかは帰らなきゃいけないし、それに、」
「さん。」
名前を呼ばれドキッとする。
「オレはさんの気持ちが知りたいんです。」
「わ、私は…」
好き。大好き。そう言いたい。
「…っ!」
「さん、好きです。」
再度トランクスが想いを口にする。
熱の篭った声で囁かれ、の心は揺れ動く。
もう、ダメだ。隠していた、いけないことだと、叶わない想いなのだと諦めかけていた気持ちが封を切るように溢れ出す。
「…き、好き、好き、大好きです。私も、トランクスさんのことが…!」
思わず涙が溢れる。
「…うっ…ひっく、す、好きなんです。私も、ずっと…!」
「さん…!」
そんなをきゅっと抱きしめるトランクス。
そう名前を呟くトランクスの表情はこれまでにないくらい嬉しさと幸せに満ち溢れていた。
「泣かないで…。オレ、嬉しいです。やっとさんの気持ちが知れて。」
「うっ…トランクスさん…でも私、来月には帰ってしまうんですよ…?幸せになれないんですよ?私たち…それでも本当に私でいいんですか?」
「さんがいいんです。確かにあと一ヶ月もしないうちにさんは帰ってしまいます。でも、それでも好きなんです。オレ、残りの時間全てをかけてさんを幸せにします。約束です。」
「トランクスさん…ありがとうございます。私も、精一杯トランクスさんのことを幸せにします…!」
「はは、期待してますよ。」
そう笑うトランクスの顔は本当に穏やかで、いつもの凛々しい雰囲気はどこかへ消えていた。
晴れて恋人になった二人。