第14章 異世界生活七ヶ月目
「えっ…!?」
予想外の回答だった。
(そ、そんな理由だったのか!?)
「だ、だから少しでもトランクスさんに迷惑をかけないようにって…それに、トランクスさん昨晩遅くまでブルマさんの手伝いをしてたでしょう?あまりはしゃぎすぎるのも疲れるかなと思って…」
(そんな事まで気付いていたのか…こんなの、オレのためみたいなものじゃないか…)
夕日の逆光でよく見えなかったが、段々と目が慣れての表情が見えるようになった。顔が赤いのは夕日のせいではないだろう。
本当にこの人は。
愛しい、好きだ。心の底から―。
そう思うやいなやトランクスは腕の中にを閉じ込める。
まるで宝物を扱うかのように優しくぎゅっと力を込める。
「ト、トランクスさん…?」
突然のことに戸惑う。
私、今抱きしめられてる…?
「さん」
トランクスが耳元でそっと名前を呟く。
「は、はい…」
聞き慣れた声が今までにないほど近く聞こえる。
「オレのためにありがとうございます。でも、そんなこと気にしなくていいんです。オレはありのままのさんがいいんです。」
そう言うとスっと体を離すトランクス。
「これからはそんなこと考えないでください。オレはいつものさんが好きなんです。」
「は、い…」
「冷えてきましたね。そろそろ帰りましょうか。」
「あ、そ、そうですね!ブルマさんも待ってますし!」
そう言ってトランクスの後を追う。
(な、なにやってるんだオレは!危うくいってしまうところだった…!)
思わずとってしまった行動に内心慌てる。
(た、多分さんに気付かれたよな…?)
いい加減気持ちを伝えなければとは思うが、なかなか勇気がでない。それに、さんとは真剣に向き合いたい。
さんが帰る日、元の世界へ帰る日に、伝えよう。
そう心に決めるトランクス。
例えこの先もう二度と共にいることが出来なくても、別れ際にさり気なく伝えればお互い幸せなのではないだろうか。
迷惑にならなように、それが一番大事だ。
一方の方も、トランクスと普段通り会話をしながらも頭の中はそれどころではなかった。