第14章 異世界生活七ヶ月目
「そうですね。何にしようかな…」
トランクスは普段通り振る舞った。
カフェを出ると、日は既に傾いていた。
「もうこんな時間か…」
トランクスは腕時計を確認しながら呟く。
「あの、ここの近くに夕日が綺麗に見えるところがあるんです。」
「へえ、せっかくなので行ってみますか?」
「はい!」
着いたところは、とトランクス以外の人が誰一人としていない静かな所だった。少し高台で、周りは自然が豊かなため空気が綺麗だ。
「街中にこんな所があったんですね…知らなかったな。」
「えへへ、そうでしょう!前に散歩してる時に見つけたんです。」
得意そうに笑う。その笑顔はいつもの輝きが戻っていた。
「あの、さん…」
トランクスは神妙な面持ちで話しかける。
「はい、なんでしょう?」
「勘違いかもしれないんですが、どこか無理していませんか?」
核心を突かれの脈が早くなる。
(トランクスさん、鋭いなあ…)
実際、はトランクスに見合う人になるべく少し無理をして大人な自分を演じていた。こんなかっこいい人の隣を歩くんだから、いつもみたいにはしゃいではいられない。これはデートのはじめに決めたことだ。
は知らんぷりをする。
「なんのことですか?楽しかったですよ!」
楽しかったのは嘘ではないが、罪悪感から笑顔が引き攣る。
「オレは今日さんと過ごせて楽しかったですよ。でもさんの表情がいつもと違うように見えます。その原因がオレならと思って…」
「…っ!それは違います!トランクスさんのせいじゃないです!あ…」
「やっぱり…何かありましたか?無理に話すことはないですが少しでも力になりたいんです。」
「実は…」
は頬を赤らめながら話すが、差し込んできた夕日の逆光でトランクスからは表情がよく見えない。
「ト、トランクスさんのことを…」
「オ、オレ…?」
ゴクリと生唾を飲み込む。
「ま、街の人が通り過ぎる度にトランクスさんを振り返るから、それに見合う人にならなきゃと思って!大人っぽくしてたんです!」
は早口でそう言う。
「そ、それはどういう意味で…」
「だっだから…!その、かっこよすぎるんですよ、今日のトランクスさんは!」