第14章 異世界生活七ヶ月目
デート(?)当日。
は待ち合わせより少々早く着いていた。
同じ家なので一緒に出ても構わなかったが、は少しでもデート気分を味わうために今日は別々に出ましょう!と提案していた。
(変なところないかな…)
コンパクトで前髪を整える。鏡に写る自分はとても緊張した面持ちだ。
「ねえ見て、あの人。」
「わ、カッコよすぎる…」
「綺麗な髪の色してるしモデルなのかな?」
そんな会話を耳に挟む。
(まさか…)
そう思い声のするほうを向くと、こちらにやってくるトランクスの姿が見えた。
「おはようございます、お待たせしました。」
「お、おはようございます!」
ああいう風に言われるのも無理がない。普段の格好も素敵だが、今日のトランクスは特に格好いい。
「あの子何者?」
「彼女なのかな」
「いいな〜ずるくない?」
街ゆく人々が小声でそう言い合うのが聞こえる。はトランクスの隣に立つ自信がなくなってきた。
私なんかが隣に居ていいのかな…と悲観的になる。
「きょ、今日の格好、とても良いですね…!」
(トランクスさんの迷惑にならないように振る舞わなきゃ…!)とは決心する。
「あ、ありがとうございます。その、さんも可愛らしいですよ。」
「あ、ありがとうございます!では行きましょうか!」
――。
とトランクスは最近話題の映画を見てからその後カフェに行った。
が御手洗に行くと言って席を外している間、カフェで一人座りながらトランクスはのことを考えていた。
今日のさんはいつもと違って無理をしているように感じる。いつもなら少しのことで感激したように目をキラキラさせてはしゃぐものを、今日は随分大人しい。
(もしかしてつまらないのか…)
オレはさんといられるだけで楽しいけど、さんは違うかもしれない。母さんはデートと言っていたが実際は友達が少ないオレに気を遣ってくれたのかもしれない…
そう考えれば考えるほど、思考は悪い方へと流れていく。
「ふう、ただいま戻りました。混んでて大変でしたよ〜。さ、デザートでも頼みましょうか!」
そう言って笑う彼女の笑顔はやはりいつもと違って、どこか気を張っているように見える。