第14章 異世界生活七ヶ月目
「私がデートってハッキリ言わなかったのもあるんですけど、最初は荷物持ちだと勘違いしてましたし、その後もただの買い物だと思っているみたいで。」
ははあ、と一つため息をつきブルマの方を見る。
「ブルマさーん、私脈なしかもしれないです…」
「ん〜、それはどうなのかしらねえ」
ブルマは息子の気持ちも知っているため言葉を濁す。
「ほら、トランクスってこういうご時世もあって、あの通り女性に免疫がないのよ。きっとデートだなんて夢にも思ってないんじゃないかしら?」
「うぅ…そうだといいんですけど…」
「絶対そうよ!私が保証するわ!」
「なんだか、ブルマさんにそう言われると安心しますね。すみません、自分の息子の恋愛事情を聞いてもらっちゃって…」
「あら、いいのよ!願ったり叶ったりだわ!」
本当にその通り、ブルマはこの状況を楽しんでいた。
がトランクスをデートに誘うなんて、正直言って普段の彼女からは想像出来ないため驚いた。しかしそれほどまでに息子を想ってくれているのが嬉しく感じられる。
トランクスについては相変わらず恋模様に疎い様子で、我が息子ながら少々呆れてしまう。
(デートくらい自分から誘いなさいよね!まあ付き合ってないから誘いずらいんでしょうけど。でもそれを差し置いても女の子からの誘いをデートと思わないなんて…ここは私が肌を脱ぐしかないかしら?)
そんな事をブルマは一人考えていた。
「ま、何はともあれデート、楽しんできなさいよ!」
「はい!明日なんですが、今から緊張してて…」
「ふふ、ちゃんらしいわね。きっとトランクスも同じよ。貴方達どこか似てるもの!」
「そ、そうですか?シドにもそう言われたんです。」
「シド?誰かしら?」
「あ、ボランティアで出来た友達です。とてもいい人なんですよ!」
「へえ、そうなの!良かったわね友達が出来て!」
「はい!」
「で、そのシドって人にも言われたのね?なかなか感が鋭い人ね!私も説明は出来ないんだけど、纏う雰囲気?が似てる気がするのよねえ。」
「そ、そうなんですね…」
好きな人に似てると言われ満更じゃない様子の。
ブルマはその様子を微笑ましそうに眺めて一人言を呟く。
「シド君、ねえ…」
ブルマはシドの名を呟く。