第13章 異世界生活六ヶ月目
今日は12月31日。大晦日だ。
時刻は新年を迎える30分前。はお盆に暖かい甘酒を二つ乗せて、トランクスの部屋の前で佇んでいた。
(新年を一緒に迎えたいと思ったけど、迷惑かな…)
は、新しい年をトランクスと迎えたいと思い、準備万端でトランクスの部屋の前まで行ったのだが、ふと冷静になる。
うーん、ヤッパリ引き返そう、そう思った矢先、
「さん…?そこで何してるんですか?」
と後ろから声をかけられる。
部屋の中にいると思っていたトランクスが急に後ろから声をかけてきたため、は思わず背筋が冷えた。
「えっ…!?うわあ、トランクスさん!?なんでっ…!?」
トランクスはの予想外の驚きように同じく驚きながらも、微笑みながら答えた。
「オレは喉が渇いたのでキッチンへ。さんはどうしたんですか?」
「あっ…えっと、もしトランクスさんが嫌でなければ一緒に新年を迎えたいなあ、と思いまして…ダメですか?」
ちらりと上目遣いでトランクスを見上げる。もちろん、ごく自然の動作であって、狙った訳では無い。
「ああ、そうだったんですね。いいですね、今まで特別誰かと新年を迎えることもなかったですし。寒いので中に入りましょうか。」
(嫌がる素振りもないし、嫌われてはないのかなあ…)
はトランクスがすんなりと受け入れてくれたことを内心とても喜びながらも、冷静な表情を装った。
「トランクスさんの部屋、初めて入るな…」
お邪魔します、
と独り言のつもりでぼそっと言うとトランクスが反応する。
「言われてみればそうですね。何も無くてつまらないですが…」
確かに、トランクスの部屋は必要最低限の物しか置かれていない。しかし、そんな所もまた彼らしかった。
「つまらなくなんてないですよ!トランクスさんのことをまた一つ知れて嬉しいです!」
「そ、そうですか?なら良かったです。」
「そうですよ!あ、私、甘酒を入れてきたんです。宜しければどうぞ!」
「あ、ありがとうございます!いただきます。」
しばらく沈黙が流れる。
トランクスさんと居ると沈黙が苦でない。むしろ、とても居心地がいい。それはトランクスの方も同じで、と一緒にいるととてもリラックス出来た。