第13章 異世界生活六ヶ月目
「…」
小さな声で名前を囁く。
慣れない甘い雰囲気には固まってしまう。
(え?え?どうしたの、シド…)
ガシャーン!!
後ろの方で誰かが運んでいた物を落とす音が鳴り響く。その音でシドは我に返った。
「あ…っと、ほら、頬に瓦礫の粉がついてたぜ?」
こんなのつけてトランクスに会えねえだろ、と付け加える。
「あ…なんだ!びっくりした!シド、いつもと違ったから…」
「あー?俺はいつも同じだよ。何勘違いしてんだ?」
シドはいつもの調子でニヤリといたずらそうに笑う。
「あ、もう!またからかって!」
「へっ、もっと免疫つけた方いいんじゃねえか?」
よかった、いつものシドだ…
は安心した様子で笑う。
「お疲れ様です。今日のぶんは終わりましたか?」
そこへちょうどトランクスがやってきた。
「あっ、トランクスさん!すみません、あと少しです!」
「分かりました。オレも手伝いましょうか?」
「大丈夫だ、俺達でやるよ。な、?」
「うん!トランクスさんは休んでいてください。」
「そうですか。じゃあオレはそこに座って待ってますね。」
「よっしゃ、さっさと終わらせちまおうぜ、!」
「もう、シドがからかわなきゃもっと早く終わってたのに!」
「はー?俺が助けなきゃお前今頃傷だらけだぜ?」
「うっ…それは恩に着ます…」
そんな二人の様子を眺めるトランクスはある違いに気付いた。
(この二人、やけに仲良くなってないか…?)
いや、元から仲はよかったのだが、どうも違和感がある。特にシドの方が…。
(まさかな…)
トランクスは一瞬頭を過ぎった考えをすぐ消す。
だって、今までそんな素振り見せなかったじゃないか。
しかし妙な胸騒ぎがする。こういう嫌な勘は当たることが多いことをトランクスは知っていた。
(もし、仮にそうだったとしても決めるのはさんだ。オレはオレなりに頑張らせてもらうぞ…)
「お待たせしました!終わりましたよ、帰りましょう!」
しばらくした後、が笑顔でこちらに向かって走ってくる。
「ええ、帰りましょうか。」
(まだ決まったわけじゃない。それに、シドとは友達でいたい…)
人知れずトランクスはそう願うのであった。