第13章 異世界生活六ヶ月目
クリスマスも過ぎ、年越しが近くなってきた。
ボランティアの方も、年末前なので明日から長期休みになる。
というわけで、今日が年内最後のため皆忙しそうに仕事をこなしていた。
達も例外ではない。
「だー!疲れた!」
「あと少しだから頑張ろ!」
「おう…」
そんな会話をしながら作業を進める。トランクスだけは隣の作業場で作業をしていた。
「あれ…?」
シドがふとの方を見て手を止める。
「お前、そんなオシャレなピアス付けてたか?」
は耳元に手をやりピアスに触れる。
「あっこれね、トランクスさんに貰ったの!」
そういった表情はとても嬉しそうで、まるで花が咲いたみたいだった。
「…あー…なるほどな。よかったじゃん!」
「うん!すごく気に入ってるんだ!」
シドはの満面の笑みを見つめながら作業を再開した。
その時、の足元がよろけて体が傾く。
「きゃっ…!」
「…っ!」
シドは咄嗟のことにを庇うように手を伸ばす。
「!」
伸ばした手はちょうどの腰あたり。自分とは違う線の細さに思わず驚いてしまう。
(細っせえ…!)
思わず顔が赤くなる。
「危なかったー…シド、ありがとう!」
はそう言うが、シドから返事が返ってこない。
「…?シド?」
不思議に思いシドを見上げる。
「あ…!悪い、大丈夫か?怪我はないか?」
「大丈夫だよ!…ふふ、なんだか初めて会った時のこと思い出すね」
は無邪気に笑う。
「そうだな」
そう、あの時から俺は…
きっと、一目惚れだったと思う。儚くて今にも消えるんじゃないかと思うほど透明で。初めて助けた時も肩の細さに驚いたなー。
でも、その想いは叶わぬものだと一瞬で悟った。が見つめる先にはいつもトランクスがいた。
最近はやっと気持ちを抑えられていたのに、ふとした瞬間に溢れ出てしまった。
二人は大事な友達だ。俺のこの感情は邪魔なものだ、そう思って気付かぬフリをしてきたが、どうやら心は正直らしい。
(限界かな…)
フッと笑みを零し、何も考えず手をの頬へ伸ばす。そっと触れる指先が熱い。
「えっ、と、シ、シド…?」
シドは普段からは想像出来ない、切なそうな表情をしていた。