第12章 異世界生活五ヶ月目
「じゃあ、オレはこれで…失礼します。」
そう言って即座に部屋に戻ってしまったトランクス。
一人廊下に残されたは、突然の出来事に戸惑いを隠せなかった。
な、何なんだ…トランクスさんの今の赤面は…!
(あれじゃ勘違いしちゃうよ…!)
―自分の部屋に入り、早速箱を開けてみる。
「わあ…!」
思わず感嘆の声を漏らす。
中には、ピアスが入っていた。
花の形の台座にキラキラとした石がはまっており、さらにその下には細いピアノ線で繋がれた、揺れる雪の結晶がついていた。
「…っ!」
の好みにぴったりのピアスに、は喜びを隠せない。しかも、くれた人がトランクスということも相まっては有頂天だ。
「トランクスさん、わざわざこれを買ってくれたんだ…!男の人じゃ入りずらかったんじゃないかなあ…」
そのピアスは若者に人気のブランドで、女性らしい可愛いデザインで有名な店だったのだ。
「それに…トランクスさんのあの様子を見たら勘違いしちゃうよ…」
は先程のトランクスの表情を思い出す。
これまで見た照れた顔とはまた違う、そう、まるで好きな人に接するような恍惚とした…
そこまで考えてはブンブンと頭を振る。
(トランクスさん…まさか私の事…。
いや!トランクスさんみたいな人が私の事を好きになるわけないじゃない!きっと勘違い…そう、気のせいよ。でも…)
(もう少しだけこの幸せな気分に浸りたいな…)
はそんなことを考えながら残りの夜を過ごしたのであった。