第10章 異世界生活三ヶ月目
…いや、シドはこの世界でトランクスさんの次に出来た大切な友達。
やっぱり、信じてくれなくてもいい。真っ直ぐなシドにはちゃんと向き合いたい。
はそう決心し、先程の言葉を訂正する。
「…や、やっぱりさっきのは違うの…ほ、本当はね、私、この世界とは別な世界から来たんだ…」
信じられないかもしれないけど、とはこの世界に来た経緯を話した。
「ちょ、ちょっと待て…てことははこの世界の人じゃないってことか?そしていつかは帰るってこと?」
「うん…や、やっぱり信じられないよね!私も最初は受け入れられなかったし…トランクスさんとブルマさんが信じてくれたのが奇跡みたいなもので…」
シドは少し考える素振りを見せて言った。
「いや、最初は驚いたが信じるぜ。本当のことを話してくれてありがとな。」
「え…本当に!?信じてくれるの…?」
「ああ。それに、なんとなくだけど話を聞いて納得したんだ。のたまに遠くを見つめる姿が、いつかどこかに消えてしまいそうだなって思ってた。」
「そ、そっか…でも信じてくれてありがとう…!」
はトランクスとブルマのみならずシドも信じてくれたことがとても嬉しかった。
「で…そういうわけだからトランクスに恋するのは不毛ってことなんだな?」
「うん…私、トランクスさんのことすごく…す、好きなの…でも、この気持ちはトランクスさんにとっては迷惑だろうし。でも諦めることも出来なくて…それで今日は悩んでたんだ…」
「トランクスにとって迷惑、ねえ…。なあ、そんなに難しく考えなくていいんじゃねえか?」
シドはあっけらかんとそう言った。
「え?」
「はトランクスのことが好きで、たまたま生まれる世界が違っただけ。迷惑かどうかなんて気持ち伝えてみなきゃ分からないだろ?確かにいつか帰らなきゃならねえかもしれないが、あと五ヶ月あるんだ。じっくり自分の気持ちに向き合ってやったらどうだ?」
はシドの意外な考えに感銘を受けた。
「そっか…そんな難しく考えなくていいんだ…。私、自分のこの気持ちを大切にしたい…!」
「おう!それに、もし帰りたくないってんなら帰らなくてもいいんじゃないか?」
はシドの「 帰らなくてもいい 」という言葉に目を見開いた。