第1章 導かれて
「私の話、信じてくれるんですか!?」
「ええ、信じるわよ。だって貴方嘘をついてるようには見えないもの!私、人を見る目は昔からあるのよね!」
青い髪をした女性は当たり前といったふうでそう言ってくれた。
は自分ですら信じられないのに、初対面で信じてくれたことをとても嬉しく思い、今度は嬉し涙を流した。
「あらあら。泣かないの!」
「すみません…」
ぐすっと鼻をすすり、笑顔を取り戻す。
「まあ、話は信じるけど問題はこれからどうするかよね…」
「あの…」
これまでずっと話を黙って聞いていた少年が口を開く。
「オレも話信じます。でも今日はもう休ませてはどうですか?」
少年は窓へ目をやる。
「もうだいぶ時間もたって夜になりましたし、何より疲れてるでしょうから…話はまた明日にしませんか?」
「それもそうね。解決策は私も考えておくわ。今日はもう休みましょう。」
なんて気の利く人なのだろう…少なくともの身近に男の人でこんなに気の利く人はいなかった。
「お気遣いありがとうございます…」
それじゃあまた明日、と2人が部屋から出ていき、静けさがもどる。
これからどうなるんだろう…
行くあてもないし、異世界でただ一人自分だけが異質。
そんな状況でも冷静なのは、あの人達の優しさ故だろう。
あの少年も女性もこんな自分に対してとても優しい。ましてや話まで信じてくれてはとても安心感に包まれていた。
もう今日は色々と疲れてしまった。また明日、考えよう。
は瞼を閉じると同時に眠りについた―。