第10章 異世界生活三ヶ月目
「トランクスさんはドラキュラ、シドは狼男ね!二人とも、すごくカッコイイよ!」
は平静を装いながらも、トランクスのドラキュラ姿にすっかり魅入っていた。
(トランクスさん…めちゃくちゃカッコイイ…!)
襟が高い黒のマントを羽織り、前の方を赤い紐で結んでおり、青い瞳と紫の髪を黒が余計際立ててくれている。
シドの方は、狼の耳をつけて服装も普段の作業着から一転してとてもオシャレなものだった。
「だろ!?」
シドは続けて言う。
「トランクスなんて、さっきから女の子達に見られまくりだからな!」
「な、、シド!!言わないでください…!」
「え、あ、そうなんだ…!さすがですね、トランクスさん!」
はショックを隠せなかった。
(そ、そうだよね、トランクスさんカッコイイもの…モテるのも当たり前だ…)
は自分がうかうかしてられない事に気づいた。
しかし、そこで別な事が脳裏を過ぎる。
自分はあと五ヶ月経てば元の世界に戻る…
そんな中途半端な状況なのに、トランクスさんに恋する資格あるのかな…
の心はこれから楽しいパーティーが始まるというのに不安でいっぱいだった。
「さん…?大丈夫ですか?」
トランクスはそんなに気付き声をかける。
「あ、大丈夫ですよ!さあ、もう始まりそうですね!今日は楽しみましょうっ!」
「はい、そうですね!」
トランクスはの憂いを帯びた表情が気になったが、とにかく今は楽しい思い出を作ることにした。
シドはその様子を終始見ながら、何か考えているようだった―。
「あ、あの…!すみません、お一人ですかっ!?」
「い、いえ…すみません…」
「やっぱりそうだよ、こんなかっこいい人が一人なわけないよ!」
「そうだよね…」
そう言って見知らぬ女性らは帰っていく。
「今ので五回目か…」
「トランクスさん、さっきからすごく声掛けられるね…」
シドとはトランクスのモテモテっぷりに驚いていた。
先程から数歩歩く度に声をかけられる。中には声はかけられずとも姿が見えなくなるまで見つめてくる人もいた。
「なんでオレが…」
「トランクス、お前そのモテっぷりなのに、今までよく声掛けられなかったな…」
「人造人間でそれどころじゃなかったから…」