第8章 異世界生活一ヶ月目
シド、と名乗るその少年は元気そうな肌の色をしていた。髪は赤毛で、人懐っこそうなその笑顔は、不思議と人の警戒心を解くようだった。
(すごく話しやすそうな人だ…そしてモテそう…ここが学校だったらクラスの中心の人って感じかな)
は直感でそう感じ、
「はじめまして、今日からボランティアに参加してます、です。こちらこそよろしくお願いしますね!」
と笑顔で返してやる。
「だな!覚えた!」
初対面の挨拶を終え、二人は同じ場所で一緒に作業を再開した。
「へえ、じゃあシドさんは西の都出身なんですね」
「ああ。だいぶ変わったよ…前はあんなに活気に満ち溢れていたのに。」
そんなことよりも、とシドは切り出す。
「なあ、その敬語やめないか?多分俺たち同い年位だと思うし。」
「えっと、それもそうですね…あ、じゃなくて、そうだね!じゃあこれからは普通に話すね!」
はトランクスの丁寧な言葉遣いが移っていたことに気付き、なんとなく恥ずかしくなってしまった。
トランクスさんも同い年くらいだと思うんだけど、敬語で話してくるなあ…。
でも、不思議とトランクスさんの敬語は距離を感じない。自然な話し方だから逆に落ち着く…
がトランクスのことを考えていると、タイミングよくトランクスがこちらに向かってきた。
「さん、お疲れ様です。今日の作業は終わりだそうです。」
「えっ、もうそんな時間ですか?」
作業やシドとのおしゃべりに夢中になっている間に、随分と時間が経っていたようだった。
「え、、トランクスと知り合いなのか?」
シドがそう尋ねてきた。
はシドがトランクスのことを知っていることに驚いた。
「うん…そうだけど、トランクスさんのこと知ってるの?」
「噂でな…ボランティアにとんでもないイケメンがいるって女子達が騒いでたんだよ。それに、人造人間を倒したやつに似てるってな!そんな訳ないだろうけど!」
シドはそう言って笑顔でトランクスの方を見る。
トランクスは不覚にも一瞬驚いてしまった。
その事は出来れば広まってほしくない…
しかしシドの方は本当にトランクスが倒したと思っておらず
「俺はシドってんだ。さっきと仲良くなったんだ。よろしくな。トランクス!」