第8章 異世界生活一ヶ月目
「そうですか、でも無理はしないでくださいね」
「はい!ありがとうございます!」
「とりあえず午前に教えたことで全てです。
午後は申し訳ないんですが、オレは別な方をやらなきゃいけないので、さん一人になってしまいますが大丈夫ですか…?」
「ええ、大丈夫ですよ!任せてください!」
そういって笑顔で返事をする。
トランクスは内心他の男の人に言い寄られたり迷惑なことをされないか心配だった。
「知らない人について行ってはいけませんよ。距離が近すぎる人がいたら離れてください。痴漢とかにはくれぐれも気をつけてくださいね。何かあったらオレを呼ぶこと。それから無理はしないこと。あとは…」
「ふふっ、トランクスさん私子供じゃないんですよ?そんなに心配しないでください!」
は過保護なトランクスに笑いが堪えられなかった。
「それはそうですが…」
さんは分かっていない…トランクスはため息をついた。
この作業場に着いてからというもの、を見る視線がとても多い。本人は気付いていない様子だったが、それもそのはず。言い寄ってこようとする輩から、トランクスがさり気なく守ってくれていたのだ。
(まあさんの言う通り、子供じゃないんだからそこまで心配しなくてもいいのか…)
何故こんなにもさんが心配なのだろう。
いくら荒れた世界とは言え、母さんにすらこんなに心配したことはないのに。
午後の作業がそろそろ始まるのか、数人が移動を始めた。
「それではオレは向こうの方にいます。遠い訳では無いので何かあったらオレのところに来てください。」
トランクスはそう言うと、別な場所へ向かっていった。
「よし…!私も頑張ろっと!」
慣れない場所で一人になったは早速作業に取り掛かった。
今度はこれを運ぼう…そう思い、持ち上げた途端はよろけてしまった。
「きゃっ!」
「おっと!大丈夫?」
次の瞬間、は見知らぬ少年の腕の中にいた。
「あ、すみません…助けていただきありがとうございます」
は急いで礼を言う。
「いや、気にすんな、怪我しなくて良かったな!」
少年はニカッと気さくそうに笑った。
「これも何かの縁、俺はシド!ここら辺で作業してるんだ。」