第7章 希望の色
「そうなんですね。貴方のおかげで自分のこの色が好きになりました。」
嬉しそうに笑うトランクスにまで嬉しくなったが、トランクスが自分を呼ぶときに名前を呼んでくれないことに気づいた。
「あの…ずっと気になっていたのですか、私のこと、あなたってよびますよね?もしかして名前、忘れてしまいましたか…?」
は不安そうにトランクスの顔を覗き込む。
トランクスはドキリとした。
「い、いえ、そういうわけではないのですが…そ、その、オレ、女の人と話したことが全くと言っていいほどなくて…なんて呼んだらいいのか分からないんです…」
は驚いてしまった。
こんなにかっこよくて素敵なのに、誰も言い寄って来ないのだろうか。
は思わずそのまま口に出してしまった。
「え…?トランクスさん、そんなにかっこいいのに女の人に言い寄られないんですか?」
(…!?かっこいい…?)
”かっこいい”などと言われる機会もなかったトランクスは口ごもってしまった。
「い、いえ!かっこよくはないですけど…悟飯さんとの修行の毎日でしたのでそういうのはなかったですね…」
照れながら答えた。
「あ…そうだったんですね。でも、これからはモテそうですね!」
「そうだったらいいんですけどね。」
苦笑するトランクス。
(トランクスさんがモテる…)
そんな場面を想像したとこで、はそうなってほしくないことに気づいた。
こんなことを願ってしまうなんて。
(なんだかすごくモヤモヤする…)
はその容姿から小さいころからそこそこ異性に好かれてはいたが、初恋がまだであったので自分のこの気持ちの正体に気付くことはできなかった。
「でも、これからは何かと不便ですし、名前で呼んでもらえると嬉しいです…嫌でなければですが…」
「わかりました。名前で呼ぶようにしますね。
えっと、改めましてよろしくお願いします、さん。」
にこっとトランクスは笑いながら言った。
…っ!!
自分で名前で呼んで、と言っておきながらも、呼ばれた瞬間高鳴った胸に、動揺せざるを得なかった。
なにこれ!?なんでこんなに苦しいの!?
「…?さん?」
やはり名字で呼ぶべきだったか、トランクスは急に名前はまずかったかと思いそう考えた。