第4章 戸惑いと、嬉しさと
そこへ、がリビングへやってきた。
「ブルマさん、お風呂ありがとうございました。」
そうブルマへ声をかける。
「貸して頂いた服なんですが…私にはちょっと似合わなかったみたいで。見かねたトランクスさんがジャケットを貸してくれました。」
えへへ、と照れながら笑うにブルマはへえ、やるじゃないと内心息子を褒めていた。
しかし、は解釈を間違えているようだ。ブルマはそこに気付き、そっと教えてあげた。
「ちゃん、ちょっとこっちへ来て。」
なんでしょう、と素直に近寄るに耳打ちする。
「そのジャケットはね、ちゃんを見たくなくて貸したんじゃないわよ?トランクスのリビングへ入ってきた時の顔!手で隠してはいたけど、とても照れていたのよ。」
ニヤニヤとまた悪戯な笑みを浮かべてそう言ってやると、は驚き目を見開きながら、
「そんなのありえないですよ!だって、トランクスさん私の方を見向きもしないでこれ着てくださいって…」
「あら、あの子そんな素っ気ない渡し方したの?オレ以外に見せるなくらい言えばいいのに!」
とブルマが赤くなってものも言えなくなったまゆを他所に盛り上がっていると
コホン、と咳払いをしながらトランクスがキッチンからやってきた。
「母さん、オレ言いましたよね?彼女をからかうなって」
ブルマはしまったとばかりに目を逸らし、なんのことかしらねえ〜とリビングを出ていってしまった。
「はあ…全く母さんには困ったものです。」
すみませんでした、と言うトランクスに、は先程の会話が頭から離れず
「いえ、大丈夫です。」
しか答えられなかった。
「気にしないでください。母はいつもああなんです。悪い人ではないのですが…」
「そうなんですね、面白くていいですね」
は、なんだからかわれただけか…と内心ガッカリしながら、ブルマさんの言う通りだったら良かったのになと少し期待していた。
そんな浮ついた気持ちのまま、リビングに残された二人は元の世界とこちらの世界の相違点について話を始めた。